SONG FOR YOU
VICL-69085
2002.11.21
\,890(税込)
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初のWINTER ALBUM!!

夏のイメージが強いパリスマッチが、冬のアルバムに挑戦!
冬に心温まる一枚になりました!
クリス・レアのカヴァー「DRIVING HOME FOR CHRISTMAS」や、「THERE’S NOTHING LIKE THIS」「KISS」の別アレンジバージョンも収録。

「paris matchは不思議なユニットだと思う。音楽の詳しい知識なんて何も知らなくても、ミズノマリのあの心地よい歌声に触れればたちまち物語の主人公になることができるし、 熱心な音楽ファンであれば、そこにスタイル・カウンシルやシャーデーらの遺伝子を見つけることができるだろう。 いわゆるグルーヴと超マニアックなグルーヴとを併せもったユニット。それがparis matchではないか、と。
例えば、私はそれほど何度も会っているわけではないが、古澤大や杉山洋介とはブルー・アイド・ソウルの話をするし、ミズノマリとは洋服や映画の話をする。 もちろん、ミズノと音楽の話をすることもあるし、古澤や杉山にデザインについての話題を振ったこともあった。 まだ、直接口にしたことはないものの、杉山には甘美なメロディ・ラインを引き出す秘訣をぜひとも聴いてみたいし、古澤にはロマンティックだけど飾らないあの歌詞の真意を訊ねてみたい。 ミズノとはこっそりと恋の話で盛り上がってみたら楽しいだろう。なぜなら、彼らにとっては興味あるすべてのことが同一線上にあるのではないかと思うから。 音楽がなにより大切なのは言うまでもないけれど、同じようにデザインやアートや恋愛やファッションも大事。 そんな懐の深さとウィット感覚がparis matchという一つの世界を形成しているのではないか。いつもそんな風に思うからだ。
今回のミニ・アルバム『SONG FOR YOU』もそうだ。聖夜シーズンの甘いムードを意識した雰囲気のナンバーが集まっているが、単なるクリスマス・アルバムなのかと言えば決してそうではなく、 むしろ、よく聴けば1曲1曲の仕上がり、アレンジが微妙なグラデーションを描いて変化しているのがわかる。 アル・クーパーとブロウ・モンキーズが合わさったような「SILENT NIGHT」などは王道のゆるいダンス・グルーヴに支えられてはいるものの、サビ前の静かな高揚感の滑らかなメロディの推移が見事だし、 イントロでホーンがいななくファンク・チューンの「SONG FOR YOU」の中盤のサンバ風の展開は聴き応え十分だ。 クリス・レアのカヴァー 「DRIVING HOME FOR CHRISTMAS」のボサ・ノヴァ風アレンジは、トレイシー・ソーンのかつての名盤ソロ・アルバム『遠い渚』を思わせるし、 「A PIECE OF JOY」「KISS(Acoustic Session)」あたりになるとジョイスやマリーザ・モンチといったブラジルの麗しき女性シンガーの面影さえ垣間見える。 お馴染みオマーの「THERE’S NOTHING LIKE THIS(type II)」ではダブ風処理が施されるなど驚くべき冒険がすべての曲で見られるのには感心させられてしまうほどだ。
しかし、ミズノマリの歌はそんな緻密かつ丹念な仕上がりを見せる楽曲の上空を、気ままに奔放に自由に飛び回っている。 そこがまた爽快だ。時々、ミズノマリは言う。「いい恋がしたい」と。それはきっと「いい歌を歌いたい」という意味であり、ミズノの歌を生かすための努力は惜しまないという古澤と杉山にとって 「いい女であり、シンガーであってほしい」ということへの回答なのではないかと思う。 そして、この『SONG FOR YOU』というアルバムには、そんな3人の微妙なトライアングルがちょっとハッピーでちょっと切ない音色を奏でていることをあらためて教えてくれる1枚だ。 今宵、あなたにもこの6曲の歌たちが、どうか届きますように。」
                                         岡村詩野
01. SILENT NIGHT
02. SONG FOR YOU (MBS-TBS系「リアルタイム」エンディングテーマ)
03. DRIVING HOME FOR CHRISTMAS
04. A PIECE OF JOY
05. THERE’S NOTHING LIKE THIS(typeII)
06. KISS(Acoustic Session)